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健康コラム
専門医が語る病気の知識
好酸球性食道炎(Eosinophilic esophagitis)

 好酸球性食道炎とは、食物が抗原となってアレルギー反応が起こり、食道粘膜に慢性の炎症を起こす疾患です。5000件の内視鏡検査に1例がみられる疾患で、最近その有病率が増加しています。性別では30~50歳代の男性に多く見られ、主な症状は嚥下困難、胸焼けで、胃食道逆流症との鑑別が必要となります。内視鏡検査では約70%に縦走溝、輪状溝、白斑の所見が見られ、残りの30%の内視鏡像は正常です。確定診断は食道に起因する症状の存在と食道粘膜生検で上皮内に多数の好酸球が存在することによります。長期経過例では食道の繊維性狭窄が起こり、食道の通過障害を起こすことがあります。アレルギー検査で特定された食物アレルギーがある場合は、その食べものを食事から除くか、除去食を摂取する必要があります。約半数以上で胃酸分泌抑制剤のプロトンポンプ阻害剤(PPI)が有効ですが、喘息の吸入治療で用いられる局所作用型ステロイドが必要となることも多いです。食道狭窄がある場合、食道内でバルーンを膨らませて食道を拡張(内視鏡的拡張術)します。

好酸球性食道炎の診断の基準(2015)

必須項目

  1. 食道機能障害に起因する症状の存在
  2. 食道粘膜の生検で上皮内に好酸球数15以上/HPFが存在(数か所の生検が望ましい)

参考項目

  1. 内視鏡検査で食道内に白斑、縦走溝、気管様狭窄を認める。
  2. プロトンポンプ阻害薬(PPI)に対する反応が不良である。
  3. CTスキャンまたは超音波内視鏡検査で食道壁の肥厚を認める。
  4. 末梢血中に好酸球増多を認める。
  5. 男性